土地選びを始めると、価格、広さ、駅からの距離、日当たりなど、気になる条件が次々と出てきます。すべてを同時に比べようとすると、何から確認すればよいのか分からなくなりがちです。
後悔を防ぐには、まず総予算、建築可否、災害リスクを確認します。この3つで大きな問題がない土地に絞ったうえで、生活のしやすさ、敷地形状、周辺環境を同じ基準で比べることが大切です。
この記事では、土地選びの優先順位、ハザードマップの確認方法、よくある見落とし、現地見学のポイント、契約前のチェック項目を順番に解説します。
1. 土地選びの優先順位
1-1. 候補地を絞るための足切り条件
1-1-1. 総予算・建築可否・災害リスクを先に確認する
土地選びでは、購入後に変えにくい条件から確認します。最初に見るべきなのは、土地と建物を合わせた総予算、希望する住宅を建てられるかどうか、災害リスクの3点です。
駅から近く、日当たりもよい土地であっても、希望する建物を配置できなければ計画を見直すことになります。造成や擁壁などの工事で総予算を超える可能性もあります。
まずは、購入を見送る理由になり得る条件がないかを確かめましょう。その後で、駅距離や庭の広さなどの希望条件を比較すると、候補を整理しやすくなります。
個別の土地に希望する建物を建てられるかどうかは、広告や地図だけでは確定できません。不動産会社から資料を受け取り、自治体の担当窓口や住宅会社、設計者にも確認してください。
1-1-2. 譲れない条件は3〜5項目に絞って希望条件と分ける

土地に求める条件は、「必ず満たしたい条件」と「できれば満たしたい条件」に分けます。すべてを必須条件にすると、候補が極端に少なくなり、比較を進めにくくなるためです。
必須条件には、予算上限、通勤時間、必要な駐車台数、災害リスク、希望住宅の配置などが挙げられます。その中から、家族の生活を大きく左右するものを3〜5項目程度に絞りましょう。
日当たり、駅からの距離、庭の広さなどは、家庭によって優先度が変わります。通院や介護、子どもの通学に関する事情がある場合は、条件数にこだわらず生活上の必要性を優先してください。
| 確認順 | 主な確認内容 | 判断方法 | 問題がある場合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 総予算 | 土地・建物・諸費用・追加工事を合算する | 予算上限を超える土地は候補から外す |
| 2 | 建築可否 | 法規、道路、敷地条件を確認する | 行政や設計者へ追加確認する |
| 3 | 災害リスク | 複数のハザード情報を確認する | 対策費や避難条件を検討する |
| 4 | 生活条件 | 通勤、通学、買い物、通院を確認する | 普段使う時間帯に移動する |
| 5 | 敷地条件 | 間口、形状、方位、高低差を確認する | 配置図を作成して検討する |
| 6 | 周辺環境 | 騒音、交通、隣地、将来変化を確認する | 曜日や時間を変えて再訪する |
1-2. 現在と将来の暮らしから決める優先条件
1-2-1. 通勤・通学・買い物は普段使う時間帯と移動方法で確かめる
生活のしやすさは、地図上の距離だけで判断できません。普段使う移動手段と時間帯で実際に確かめることが重要です。
徒歩10分と表示されていても、坂道、信号、踏切、歩道の狭さによって負担は変わります。車を使う地域では、朝夕の渋滞や右折のしにくさも確認が必要です。
通勤や通学を重視する場合は、平日の朝や夕方に候補地から駅、職場、学校まで移動してみましょう。スーパーや病院も、距離だけでなく営業時間や移動経路を調べます。
現在の生活を候補地で無理なく続けられるかという視点で判断してください。
1-2-2. 将来の家族構成・車利用・通院まで見込んで条件を決める
土地は、住宅設備のように簡単に交換できません。現在の暮らしだけでなく、家族構成や移動手段が変わった場合も考えて条件を決めます。
子どもの成長に伴い、必要な駐車台数が増えることがあります。親との同居や介護を検討する場合は、病院への移動や送迎のしやすさも判断材料になります。
将来を正確に予測することはできません。それでも、5年後や10年後に起こりそうな変化を家族で話し合うことはできます。
現在の便利さと、将来生じる可能性がある負担を分けて整理しましょう。
2. 土地の建築条件と取得後までの総予算
2-1. 建築可否を左右する法規・道路・インフラ
2-1-1. 用途地域・建ぺい率・容積率は最新の行政情報で確認する
土地には、建てられる建物の用途や規模に関係する法規制があります。用途地域、建ぺい率、容積率などは、希望する住宅の大きさや階数を検討するうえで重要な情報です。
ただし、地図に表示された数値だけで、建てられる建物を確定することはできません。防火関係の規制、高さ制限、地区計画、景観に関するルールなどが別に適用される場合もあります。
候補地が決まったら、最新の行政情報を確認してください。そのうえで、希望する間取りや建物規模を設計者へ伝え、具体的に検討してもらいましょう。
出典:不動産情報ライブラリ|運営者:国土交通省|確認日:2026-07-25|用途:都市計画情報等の確認
2-1-2. 接道・道路種別・セットバックの可能性は専門家に確認する
土地が道路に接していても、その道路が建築基準法上どのように扱われるかによって、建築条件が変わる場合があります。
道路の幅や接している長さだけで判断せず、道路種別まで確認することが必要です。条件によっては、道路の中心線などから敷地を後退させるセットバックが必要になる可能性があります。
セットバックが必要な場合、登記上の土地面積と、建物や外構に使える範囲が異なることがあります。
不動産会社から道路に関する資料を受け取り、自治体や設計者にも確認してください。個別の土地に法令がどう適用されるかは、専門家による確認が必要です。
出典:建築基準法|運営者:e-Gov法令検索|確認日:2026-07-25|用途:道路・敷地条件に関する確認の起点
2-1-3. 上下水道・ガス・電気・境界・越境は契約前に書面で確かめる
土地の前まで上下水道やガスの配管が来ていても、敷地内への引き込みが完了しているとは限りません。引込工事が必要であれば、土地代とは別に費用がかかります。
境界標の有無や隣地との越境も確認しましょう。塀、樹木、屋根、配管などが境界を越えている場合は、建て替えや売却の際に調整が必要になることがあります。
現地を見ただけで、所有関係や工事範囲を判断しないことが大切です。境界資料、配管図、工事見積書などを確認してください。
その場で分からない事項は、誰がどこへ確認し、いつまでに回答するのかも記録しておきましょう。
2-2. 希望住宅の配置を左右する敷地条件と追加費用
2-2-1. 面積だけでなく間口・形状・方位・高低差を確認する
土地の使いやすさは、面積だけでは決まりません。同じ広さでも、間口が狭い土地、細長い土地、三角形に近い土地では、建物や駐車場の配置が変わります。
方位についても、南向きという理由だけで判断しないことが大切です。周辺建物の高さ、窓の位置、道路との関係によって、日当たりや視線の入り方は異なります。
道路や隣地との高低差が大きい場合は、階段、スロープ、擁壁、排水計画などが必要になる可能性もあります。
敷地図へ寸法や高低差を書き込み、設計者と一緒に確認しましょう。
2-2-2. 建物・駐車場・庭・外構を配置図で当てはめる
土地の広さが希望条件を満たしていても、希望する建物と駐車場を同時に配置できるとは限りません。
建物の形、玄関までの動線、車の出入り、庭や物置の位置まで含めて検討する必要があります。複数台分の駐車場が必要な場合は、台数だけでなく、車を入れ替えずに出せるかも確認しましょう。
前面道路から進入しやすいか、駐車時に電柱や塀が支障にならないかも重要です。
購入前に、検討している住宅会社や設計者へ簡易的な配置図を依頼してください。確定設計ではありませんが、希望する暮らしを実現できるかを判断する材料になります。
2-2-3. 造成・擁壁・地盤・解体・引込工事を含む総額で比べる

土地を比較するときは、広告に記載された土地価格だけを見ないようにします。住宅を建て始められる状態にするまでの費用も含めて比べることが大切です。
土地によっては、造成、既存建物の解体、樹木の撤去、擁壁、上下水道の引き込みなどが必要です。地盤改良については、調査前に必要性や金額を確定できません。
一般的な相場を一律に足すのではなく、その土地で必要になりそうな工事項目を洗い出しましょう。複数の候補地を比べる場合は、見積もりの範囲と条件もそろえてください。
| 分野 | 主な確認事項 | 確認資料・方法 | 費用への影響 |
|---|---|---|---|
| 法規 | 用途地域、建ぺい率、容積率、地区計画 | 行政情報、設計者への確認 | 建物規模や設計条件に影響 |
| 道路 | 接道、幅員、道路種別、セットバック | 道路資料、自治体への照会 | 有効敷地や外構計画に影響 |
| インフラ | 上下水道、ガス、電気 | 配管図、現地、工事見積書 | 引込工事費が発生する場合がある |
| 敷地 | 間口、形状、方位、高低差 | 測量図、配置図、現地確認 | 造成や外構費に影響 |
| 境界 | 境界標、越境物、塀の所有 | 境界資料、売主への確認 | 撤去や調整が必要になる場合がある |
| 既存物 | 建物、樹木、井戸、残置物 | 現地、解体見積書 | 解体・撤去費が発生する場合がある |
| 地盤 | 地形、造成履歴、調査結果 | 公開地図、地盤調査 | 調査後に改良費が生じる場合がある |
3. 土地選びにおける災害リスクと土地履歴
3-1. ハザードマップの災害別確認範囲
3-1-1. 洪水・内水・高潮・津波・土砂を重ねて確認する
ハザードマップは、洪水だけを確認して終わりにしません。地域に応じて、内水、高潮、津波、土砂災害などの情報も分けて確認します。
災害の種類によって、想定される条件や区域が異なるためです。洪水の浸水想定が小さくても、内水や土砂災害など、別のリスクが示されている場合があります。
国のポータルサイトと、市区町村が公開する最新のハザードマップを併用しましょう。候補地の位置だけでなく、周辺道路や避難場所も確認してください。
出典:ハザードマップポータルサイトを活用して災害に備えよう|運営者:国土交通省|確認日:2026-07-25|用途:複数災害と避難場所の確認
3-1-2. 色が付いていない土地もリスクゼロとは判断しない
ハザードマップで色が付いていない土地でも、災害リスクがまったくないとは判断できません。地図は一定の想定条件に基づいて作られており、すべての現象を示すものではないためです。
地図の縮尺や更新時期によっては、候補地の位置を正確に読み取りにくいこともあります。区域外であることだけを理由に、安全性が保証された土地とは考えないようにしましょう。
不動産会社から説明を受ける際は、使用されたハザードマップの作成主体と更新時期を確認してください。自治体の防災情報や避難計画も合わせて確認します。
出典:不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化|運営者:国土交通省|確認日:2026-07-25|用途:水害ハザードマップの説明と区域外に関する注意
3-2. 地形分類・造成履歴・地震情報の役割
3-2-1. 地形分類と過去の空中写真で土地の成り立ちを確認する
現在は平らな住宅地に見えても、以前は川沿いの低地や水田、谷を埋めた造成地だった可能性があります。土地の成り立ちを調べると、現在の外観だけでは分からない特徴を確認できます。
国土地理院の地形分類では、扇状地、氾濫平野、自然堤防、旧河道などを確認できます。過去の空中写真と現在の地図を比べると、土地利用や周辺地形の変化も見つけやすくなります。
ただし、地形分類や空中写真だけで、個別敷地の地盤強度を判断することはできません。気になる履歴が見つかった場合は、資料を住宅会社や地盤の専門家に見せて相談してください。
出典:土地の成り立ち・土地利用|運営者:国土地理院|確認日:2026-07-25|用途:地形分類と土地の成り立ちの確認
出典:治水地形分類図について|運営者:国土地理院|確認日:2026-07-25|用途:旧河道や低地などの地形確認
3-2-2. 盛土・旧河道・低地は追加調査の要否を専門家に相談する
候補地が盛土造成地、旧河道、低地などに該当する場合は、その情報だけで危険と決めつけないようにします。追加調査が必要かを専門家に相談しましょう。
大規模盛土造成地マップは、盛土造成地の概ねの位置や規模を確認する資料です。掲載されている場所がすべて危険であることを示すものではありません。
また、掲載されていない場所に盛土がないことを保証する資料でもありません。
公開地図で気になる点が見つかったら、造成時期、工事記録、自治体が保有する資料などを確認してください。個別敷地の判断は、設計者や地盤の専門家による調査と合わせて行います。
出典:大規模盛土造成地マップについて|運営者:国土交通省|確認日:2026-07-25|用途:盛土造成地の概ねの位置と資料の限界の確認
3-2-3. 地震ハザード情報は確率と地盤傾向を把握する材料にする

地震に関する公開情報では、将来一定期間に強い揺れが起こる確率や、地盤の揺れやすさの傾向を確認できます。
これらは候補地を比べる材料になりますが、個別の住宅がどの程度被害を受けるかを予測するものではありません。地震に強い土地と弱い土地を、地図だけで単純に分けないことが大切です。
地震ハザード情報は、地形分類、造成履歴、建物の耐震計画などと合わせて確認しましょう。土地と建物を別々に考えず、住宅会社や設計者へ総合的に相談してください。
出典:J-SHISについて|運営者:防災科学技術研究所|確認日:2026-07-25|用途:地震動予測と地盤傾向の確認
| 確認分野 | 主な確認内容 | 地図・資料の役割 | 判断時の注意点 |
|---|---|---|---|
| 洪水 | 河川氾濫による浸水想定 | 浸水範囲や深さの目安を確認 | 想定条件と更新時期を確認する |
| 内水 | 排水能力を超えた浸水 | 河川から離れた場所の水害も確認 | 自治体によって整備状況が異なる |
| 高潮・津波 | 沿岸部の浸水想定 | 避難方向や高さを確認 | 到達時間や避難経路も見る |
| 土砂災害 | 警戒区域など | 崖や斜面との位置関係を確認 | 区域の周辺も現地で確認する |
| 地形分類 | 低地、旧河道、扇状地など | 土地の成り立ちを把握 | 個別地盤の強度は断定できない |
| 盛土造成地 | 盛土の概ねの位置や規模 | 追加確認の必要性を考える | 掲載の有無だけで安全性を判断しない |
| 地震情報 | 揺れの確率や地盤傾向 | 地震リスクの傾向を把握 | 個別被害の予測ではない |
3-3. 避難経路と現地条件の確認項目
3-3-1. 避難場所までの経路・高低差・橋や水路を現地で確かめる
ハザードマップで避難場所を確認したら、候補地から実際に移動できるかも確かめます。
直線距離が近くても、途中に川、橋、踏切、急な坂があると、災害時の移動が難しくなる可能性があります。小さな子どもや高齢者がいる家庭では、徒歩での移動時間や休憩できる場所も確認しましょう。
車で避難することだけを前提にせず、複数の経路を検討することが大切です。
現地では、避難方向、道路幅、高低差、水路の位置を確認してください。危険な場所へ立ち入らず、安全な範囲で実際に歩いてみましょう。
3-3-2. 雨の後や夜間にも訪れ、排水・照明・交通を確認する
晴れた昼間の見学だけでは、排水の状態、夜間の暗さ、通勤時間帯の交通量までは分かりません。条件を変えて複数回訪れると、生活上の不便を見つけやすくなります。
雨の後には、道路や敷地周辺に水がたまっていないかを確認します。側溝から水があふれた形跡や、周囲から敷地へ水が流れ込む可能性も見ておきましょう。
夜間は、街灯の位置、人通り、車の速度などを確認します。
大雨や台風など、危険な状況で現地へ行く必要はありません。天候が落ち着いてから、安全を優先して確認してください。
4. 土地選びの後悔につながる現地確認の見落とし
4-1. 土地選びでよくある後悔の原因
4-1-1. 安い土地は理由と追加費用を分けて確認する
周辺の土地より価格が低い場合は、安さだけで判断せず、その理由を確認します。形状、高低差、道路条件、インフラ、既存建物などが価格に影響しているかもしれません。
安い土地が、必ず問題のある土地というわけではありません。家族の条件に合い、追加費用を含めても予算内に収まるのであれば、有力な候補になる場合もあります。
不動産会社へ価格の理由を質問してください。造成、解体、擁壁、引込工事などの費用は、項目を分けて見積もりましょう。
表示価格ではなく、住宅を建てて暮らし始めるまでの総額で比較することが重要です。
4-1-2. 昼の一度だけで決めず時間帯と曜日を変えて訪れる
現地見学を一度だけで終えると、その時間帯には表れない問題を見落とす可能性があります。平日と休日、朝と夕方では、交通量、騒音、人通りが変わります。
近隣に学校、工場、商業施設、病院などがある場合は、利用時間や搬入時間によって周辺環境が変化することもあります。
一時的な工事や行事の影響を、日常的な環境と混同しないことも大切です。
候補地が絞れたら、平日、休日、夕方、夜間など、条件を変えて訪れましょう。訪問ごとに写真とメモを残すと、候補地を比べやすくなります。
4-1-3. 地図上の距離だけでなく実際の移動負担を確かめる

駅や学校までの距離が近くても、坂道、信号、踏切、歩道の状態によって、実際の負担は変わります。
車での移動では、朝夕の渋滞や右折の難しさによって、所要時間が長くなる場合があります。自転車を使う家庭では、勾配や道路幅も確認が必要です。
家族が普段使う移動方法で、候補地から主な目的地まで移動してみましょう。子どもや高齢者が利用する経路は、その人の歩く速度や安全性を基準に確認します。
| 訪問条件 | 主な確認項目 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 平日の朝 | 通勤車両、通学路、渋滞 | 抜け道として使われる道路 |
| 平日の夕方 | 帰宅時の交通量、買い物動線 | 右折のしにくさ、踏切待ち |
| 休日 | 商業施設や公園の利用状況 | 来客車両や一時的な混雑 |
| 夜間 | 街灯、人通り、車の速度 | 暗い交差点や死角 |
| 雨の後 | 水たまり、側溝、敷地への流入 | 道路と敷地の高低差 |
| 風の強い日 | 風の通り、飛来物、音 | 周辺建物や空き地の影響 |
4-2. 周辺環境の見落としと説明記録
4-2-1. 隣地・空き地・水路・電柱・ごみ置場まで確認する
土地を見るときは、敷地内だけでなく周囲にも目を向けます。隣地の窓や室外機、空き地、水路、電柱、ごみ置場などは、建物配置や日常生活に影響する可能性があります。
電柱や支線の位置によっては、駐車場への出入りを調整しなければなりません。水路がある場合は、管理者、境界、ふたの有無などの確認が必要になることもあります。
将来、空き地に何が建つかを断定することはできません。現在の状況を写真やメモに残し、都市計画や建築条件から考えられる変化を自治体や設計者へ確認しましょう。
4-2-2. 追加費用と土地の制約は口頭で終わらせず資料に残す
土地について受けた説明は、口頭だけで終わらせず、図面、見積書、メールなどで確認できる状態にします。担当者と購入者の認識がずれることを防ぐためです。
特に、境界、越境、擁壁、道路、インフラ、解体、造成に関する説明は、誰がどこまで対応するのかを明確にしましょう。
その場で回答が出ない項目は、確認先と回答期限を記録します。
契約を急かされた場合でも、不明点を推測で補わないことが大切です。必要な確認が終わってから契約を判断してください。
5. 候補地比較と契約前の土地選びチェックリスト
5-1. 同一基準による候補地の比較方法
5-1-1. 足切りを通過した土地だけを同じ比較表で並べる
候補地を比べるときは、最初に総予算、建築可否、災害リスクなどの足切り条件を確認します。
重大な問題がある土地と、条件を満たす土地を同じ点数表で比べないことが重要です。
足切りを通過した土地について、生活利便性、敷地条件、周辺環境、将来の暮らしやすさなどを同じ項目で並べます。土地ごとに評価項目を変えると、印象の強い長所だけで判断しやすくなるためです。
比較表は家族全員で確認しましょう。ただし、合計点だけで決めるのではなく、必須条件を満たしているかを優先してください。
5-1-2. 不明項目は低評価にせず確認待ちとして残す
確認できていない項目を、「問題なし」と推測して採点してはいけません。一方で、情報がないことだけを理由に、危険な土地と決めつけることも避けます。
不明な項目は、「確認待ち」として独立させましょう。確認先、担当者、回答期限も記録します。
たとえば、道路種別が未確認であれば、価格や日当たりの評価が高くても、契約判断は保留します。
回答が得られない場合や、複数の資料に食い違いがある場合は、その理由を確かめてください。重要事項を確認できないままであれば、候補から外すことも選択肢です。
| 比較分野 | 必須条件の例 | 希望条件の例 | 主な確認先 | 確認状態 |
|---|---|---|---|---|
| 総予算 | 上限内に収まる | 外構や庭へ余裕がある | 住宅会社、金融機関 | 確認済み/確認待ち |
| 建築条件 | 希望する用途・規模が可能 | 間取りの自由度が高い | 自治体、設計者 | 確認済み/確認待ち |
| 災害情報 | 家族が許容できる条件 | 避難場所が近い | 自治体、公的地図 | 確認済み/確認待ち |
| 生活動線 | 通勤・通学が可能 | 買い物施設が近い | 現地確認 | 確認済み/確認待ち |
| 敷地条件 | 建物と駐車場を配置できる | 庭や物置を置ける | 設計者、測量図 | 確認済み/確認待ち |
| 周辺環境 | 日常生活に支障がない | 景観や静かさが好みに合う | 現地確認、自治体 | 確認済み/確認待ち |
| 将来条件 | 家族の変化に対応できる | 売却や住み替えも検討しやすい | 家族、専門家 | 確認済み/確認待ち |
5-2. 土地契約前の最終確認項目
5-2-1. 行政・不動産会社・設計者の情報を照合して建築条件を確かめる
土地に関する情報は、一つの窓口だけで完結するとは限りません。
不動産会社は取引条件を説明します。自治体は道路や都市計画などの行政情報を扱い、設計者は希望する建物を配置できるかを検討します。
それぞれの説明に違いがある場合は、どの資料や条件を基準にしているのかを確認しましょう。専門領域が異なるため、一者の説明だけで個別の建築可否を確定しないことが大切です。
契約前には、用途地域、道路、境界、インフラ、造成、建物配置、追加費用などを一覧にし、確認結果を照合してください。
5-2-2. 家族の必須条件と総予算が一致してから契約を判断する
最終判断では、候補地が家族の必須条件を満たし、追加費用を含む総予算内に収まるかを確認します。
すべての希望を満たす完璧な土地を探し続けると、判断できなくなることもあります。一方で、契約を急ぐあまり重要な条件を妥協すると、購入後の後悔につながりかねません。
「価格が安い」「人気がある」「ほかにも検討者がいる」といった情報だけで決めないことが大切です。確認済みの資料を家族で見直しましょう。
必須条件、許容できる弱点、不明点が整理できてから契約を判断してください。
6.まとめ
土地選びで後悔を防ぐには、見た目の印象や土地価格だけで候補を比べないことが大切です。
まず、総予算、建築可否、災害リスクを確認します。その条件を通過した土地について、生活動線、敷地形状、周辺環境を同じ基準で比較しましょう。
ハザードマップは、色の有無だけで判断しません。複数の災害情報、土地の成り立ち、避難経路まで確認する必要があります。
法規、道路、地盤、追加費用など、個別判断が必要な項目は、自治体、不動産会社、住宅会社、設計者などへ確認してください。
弱点が一つもない土地を探すことより、弱点と必要な対策を購入前に把握することが重要です。不明点を残したまま契約せず、家族が納得できる判断材料をそろえてから土地を選びましょう。
土地選びから家づくりまで、まとめて確認しませんか?
土地選びでは、価格や広さだけでなく、希望する建物を配置できるか、追加工事を含む総予算に収まるかを一緒に確認することが大切です。
候補地の選び方や建物との相性に迷っている方は、土地の資料と家づくりの希望条件をそろえたうえで、住宅会社や設計者へ相談してみましょう。
土地選びに関するよくある質問
土地選びでは何を最優先にすればよいですか?
最初に、土地・建物・諸費用を含む総予算、希望住宅の建築可否、災害リスクを確認します。大きな問題がない土地に絞った後で、通勤、日当たり、庭の広さなどの希望条件を比べましょう。
土地選びの必須条件はいくつに絞ればよいですか?
目安として3〜5項目程度に絞ると比較しやすくなります。ただし、通院、介護、通学など生活上の事情がある場合は、項目数より必要性を優先してください。
ハザードマップで色が付いていなければ安全ですか?
色が付いていないことだけで、災害リスクがないとは判断できません。地図の想定条件、更新時期、土地の成り立ち、避難経路、現地の高低差なども確認してください。
安い土地は避けたほうがよいですか?
安い土地が必ず問題のある土地とは限りません。形状、高低差、道路条件、解体、造成、擁壁、インフラなど、価格が低い理由と追加費用を確認し、総額で比較しましょう。
土地は何回見学すればよいですか?
回数を一律には決められませんが、候補地が絞れたら、平日と休日、朝夕、夜間、雨の後など条件を変えて確認すると、交通量、騒音、排水、照明の違いを把握しやすくなります。
土地の建築可否は不動産会社だけに確認すればよいですか?
一つの窓口だけで確定せず、不動産会社の資料、自治体の道路・都市計画情報、設計者による建物配置の検討結果を照合してください。
候補地は点数を付けて比較してもよいですか?
足切り条件を通過した土地同士を同じ項目で比較する方法は有効です。ただし、合計点だけで自動的に決めず、必須条件と未確認事項を優先してください。